可愛げ

急に冷え込んできました。
季節の変わり目は体調を崩しがち。
みなさん、気をつけてください。

さて、読書の秋ということで
ここ最近は時間があれば、
ずっと本を読んでる森下です。

今更かもしれませんが、
先日、田中角栄さんの本を読みました。

強面なこともあり、
我の強い横暴な人といった
イメージが強かったのですが、
本を読んでみて、
とても魅力のある生き様を知り、
結局、3冊ほど田中角栄本を
一気に読んでしまいました(笑)。

改めて考えたら、
なにかしらの魅力が無ければ
ここまで伝えられる政治家のわけもなく、
当たり前といえば当たり前なんですが、
感心すること箇所が多々ありました。

お金の面で疑惑な部分や
何より賛否両論な人ですが、

自分の懐を肥やすための私欲というより、
お金は政策を実現するための方法論でしか
ないようにも感じられましたし、
(現に公では派手でも、
私生活は質素であった言い伝えも
あるようです。)

どうやったら新潟の地元の人が
暮らしやすくなるようになるか、
どうやったら日本中のどこでも
暮らしやすくなるようになるか、

そのことを一心に思っていた
真っ直ぐさに結局、周りは
理解してしまうのでしょうね。

そんな田中角栄さんは、
類まれなるリーダーシップがあり、
存在感も行動力もあり、
とてもない大物なわけです。

でも、読んでて田中角栄さんの
一番の魅力はこういった部分でなく、
表現は不適切かもしれませんが、
「可愛げ」があることだと思いました。

周りはその「可愛げ」に
やられてしまうのでと思います。
「人たらし」といったほうが
いいかもしれません。

(「人たらし」って言葉は元々、
「人をだます」っていう悪い意味で
日常では「媚びる人」「八方美人」
なんてニュアンスが強いですが、
私は「可愛げ」って意味が
一番大きいと思ってます。)


(元祖 人たらし)

目下の人にも詫びれる度量の広さ。
政敵であろうが亡くなったら、
葬式には真っ先に駆けつけ涙する様。
子どもような負けず嫌い。
自分の弱さを認め、隠さなかったこと。

ボスとして君臨していても
大物政治家が相手でも
地元の農家のおばあちゃんにでも
誰にでも接する態度が同じであり、

その率直な人間の姿に
誰しもが尊敬の念を持ちつつも、
「可愛げ」を感じたのではないでしょうか?

実は、名をなしたリーダーの人って
結構、みなさんこういった
「可愛げ」があって、
部下や家族など周りの人から
愛されたエピソードが多いのも
同じことのように思います。

ちなみに現在、スーパースターで
素晴らしい実績を出しているのに、
目上の人も、年下の人も
誰もがカワイイと思ってしまう
「可愛げ」のある人って
この人ではないでしょうか(笑)?


(エンゼルス 大谷翔平選手)

とはいえ、「可愛げ」だけでは
リーダーには絶対なれないわけで、
統率力も覚悟もあってこそです。

最後に田中角栄さんが
1962年大蔵大臣に就任したとき、
大蔵省の面々を前にした演説を
最後に書いておきます。

存在感も 経験も 考え方も大事ですが、
自分の想いをこのような言葉で
相手に伝えられることは
とてもスゴイことです。

大卒のエリートから見れば、
学歴がないリーダーは見下されることも
多くあるかと思います。

しかし、親分とは
そんなことでは決まるものではありません。
それが分かるこの名演説。
私はこれ読んだときグッときました。

「私が田中角栄だ。
小学校高等科卒業である。

諸君は日本中の秀才代表であり、
財政金融の専門家ぞろいだ。

私は素人だが、
トゲの多い門松をたくさんくぐってきて、
いささか仕事のコツを知っている。

一緒に仕事をするには
互いによく知り合うことが大切だ。

われと思わん者は誰でも遠慮なく
大臣室にしてほしい。

何でも言ってくれ。
上司の許可を得る必要はない。

できることはやる。
できないことはやらない。

しかし、すべての責任は
この田中角栄が背負う。

以上!」

田中角栄、44歳のときの演説。
(宝島社「田中角栄という生き方」より抜粋)