今、世の中に上岡龍太郎が足りない。

最近、自分が歳をとってきたなと思うことに
テレビを見なくなってきたことがあります。

子どもの頃はテレビばっかり見てました。
ニュースくらいしか見てなかった親を見て
「なんでニュースみたいな面白くないものしか
見ないんだろう。」と思っていましたが、
今、ニュースとスポーツ、
ケーブルテレビで麻雀くらいしか見なくなった
同じような大人になった45歳の私がいます(笑)。

最近、移動中や子どもが寝たあとに
youtubeをみることも多くなり、
昔のテレビ番組を見たりしていますが、
今年に入ってから
上岡龍太郎さんの番組ばかり見ています。

「爆発的なボケ」や
「動き」で笑いを取るタイプでもなく
「屁理屈」や「紳士的な立ち振る舞いで吐く毒舌」等
今も昔もなかなか存在しない
唯一無二のスタイルだったりします。

最近は運動神経の悪さなどを売りに
滑稽な立ち振る舞いのお笑いが
多いようにも思いますが、
「お笑い」はいろんなスタイルがあります。

どんなスタイルでも
面白いものは面白いのです。

何より「知識」「表現力」「間のよさ」が
際立っている上岡さんの話しぶりに
この歳になって一層、ハマっています。

個人的見解ですが、面白い人とは、
「知識の引き出しが多いこと」と
「話す<間>が上手な人」という
2つのイメージを持っています。

とはいえ
知識の引き出しは実際、多くなくても
多いように見せかけれたらいいとは、
島田紳助さんが言われていました。

何か一つ極端に掘り下げて知識があり、
熱く語れればいいという意見も妙に納得します。
(私は音楽が詳しいといったキャラらしいですが、
実はストーンズのことしか詳しくないですけど、
それが深いからそう見えているだけです(笑)。)

今、昔の映像を見ていると
この2つの条件を満たしている上岡さんの話ぶり。
本当、面白くて全然古く感じません。

いつの時代も本当に面白いものは
いつでも古臭くなく面白いものですし、
そう思えないのは、それは「流行」だったのでしょう。

「間のよさ」というタイミングではなく、
「時代」というタイミングがよかったのでしょうね。
一発屋さんってまさにこうですよね。

「お笑い」って私は「芸術」と思っています。

絵画や書道、歌舞伎などに比べたら
身近すぎて庶民的なものであり、
価格も他に比べたら安価なため
どっちかと言えば低くみられがち。

でも、昔、伊東四朗さんが言ってた言葉
「笑いが一番難しい。」は本当だと思います。
まさに人を笑わせることが一番難しいものです。

だって、他人を怒らせることや
泣かせることって比較的簡単ですよね。

そう思ったらいつの時代でも
何より大人を笑わせることは本当に難しく、
今見ても面白いと思える
上岡龍太郎さんのような芸こそ
いつの時代も必要なのかもしれません。

最後に上岡さんが引退して十数年経ってから
故 横山ノックさんの弔辞をされた映像を
貼っておきます。

悲しみの中にある、愛に満ちた想い。
その愛を「笑い」と「感謝」で語る姿。

タモリさんの赤塚不二夫さんの弔辞も
素晴らしかったですが、
この弔辞も本当に素晴らしい。

不謹慎にも「面白い」と思ってしまったのは
「知識」「表現力」そして何より「間のよさ」が
そう思わせてしまっているように思います。

上岡さんの話。
あえて、今、もう一度聞きたいものです。